第二自治会第一協議会第三自治区2014年07月21日 12:52

舌を噛みそうになる。
昨年11月から、長い間ブログの更新ができなかったのですが、その理由はQベク エアーサンプラーが高木基金・市民科学者助成対象に選ばれたことなどもありますが、もうひとつが、これ。
自治委員

自治会(爺々会)なんて、町内防火隣組やら国防婦人会といったものの「なれの果て」くらいに考え、なるべく近寄らないようにしていました。

個人的には、暮らし・地域といった小さなスケールの意思が復権できるかどうかが、この国の将来を左右すると思っているくらいなのですが、どうも、現在の自治会にそんな役割は期待できそうもない。

一昨年、北九州市が市民の不安を他所に「震災がれきの焼却」に踏み切った時に、市開催の説明会にイエスマン集団として大量動員されたのが、この自治会だったことからも判るように、都合良く使われている便利な団体といった感触を持っています。

私は、地方の会員3000名程度の小さな生協に入職しました。退職時には九州~関西までに30万人の会員を抱える程に統合・成長するまでの様・・・得られたものと失ったもの・・・を見つめてきました。

組織というものは、2つの側面を持ちます。
ひとつは、「その組織の存在目的を全うする」機能であり、もうひとつは副次的なものですが、「組織を守る」機能です。

両者は本来連関しており、問題を解決する力があらばこそ守り・守られる組織となる筈なのですが、時間の経過とともに「組織を守るためにだけ存在する組織」という状況に陥ることが余りに多いのです。

自治会(爺々会)は、少なくとも私の地ではその典型と言ってもよろしい。

何も解決できないから自治会の加入率は50%を切っていると言われています(その正確な数字すら無い状態です)。

そんな自治会に、この春から深く関わるようになりました。私の住む第一協議会の協議会長が病を得て、続けられそうにないという理由で是非引受けて欲しいと要請されたのですが、私の方にも「自治会を梃子にして地域を考えることができるかも知れない」との考えがありました。

で、この協議会長を引受けたら、前任者がそうだったからと「自治会副会長」「町づくり協議会副会長」を押し付けられ、ついでに、近くの神社の総代職まで転がり込んできました。

いくら人材払底の自治会とは言え、これはちょっと酷いとは思いますが、次は何が出てくるのか、少し愉しみでもあります。


オール電化から「降りる」2014年07月21日 10:48

十数年前に父が病死した後、実家には残された母が一人で住んでいましたが、同居を請われて一緒に住むことになり、大がかりな改築を行いました。その際に年老いた母のことや我々夫婦もやがて老いてゆくことを考え安全面から「オール電化」を選択しました。電磁調理器の影響や深夜電力が原発を前提に成立していることは判っていたのですが、まずは「火の用心」が第一ということでの導入でした。工務店からは電気料金も大幅に下がるとの説明もされていました。

そして福島第一原発の事故です。

国・電力会社が進める原発政策の片棒をかついできてしまったことへの悔恨・・・。

あれほどの過酷事故を起しながら、株主の顔色を窺って、やみくもに再稼動に走る電力会社。自らの無謬性と天下り先にしがみついて反省の色さえ見せない無能・無策の官僚集団。国の将来など一顧だにせず経団連と共に現世利益に群がる蛆虫政治家達・・・。

とりあえず「オール電化」は降ります。

我が家にとってのオール電化の総括

・原発の稼動が前提となっている

 基本的に、発電量の増減調節ができない原発の夜間余剰電力の
  「はけ口」として考案されています。我が家は、以下の理由で
  原発に反対してきました。

 ①核の力は宇宙の進化の原動力であり、現時点では人類がコントロールするには無理があります。

 ②原発を動かした後の使用済み核燃料をはじめとする、数十万年単位で保管せねばならない「核のゴミ」については、その後始末は人智を超えています。基本的には出さない(原発を動かさない)以外に方法はあり得ないというのが現状です。

 ③あらゆる機械は故障します。万一故障した場合の影響が福島に見られるような過酷なものになる機械を私たちは動かすべきではないと考えます。

・節電の効果が出難く、低コストにならない

  深夜の余剰電力を自動的に運転される仕組みを使い大量の湯を 
  作ることで消費することを
主な柱としています(事実上それだ 
  け)。この仕組みゆえに過大なアンペア契約を要求される
こと
  になります。もともと野放図に大量の電気を使っていた世帯に
  は効果があるかもしれま
せんが、この契約に制約され個々の世
  帯での節電(経済的な倹約も)を大変難しくしています。

・停電時に調理も出来なくなってしまう(インフラの集中)
 3相交流の200Vですので、多少は停電の確率も少なくなっ
 ていると思いますが、やはりライフラインは複数持っていたい
 と感じます。

・電磁調理器については電磁波の不安があります。と言っても、
 我々や母の問題ではなく、我が家をちょくちょく訪れる孫達の
 事です。やはり、子ども達の電磁波被曝は避けられれば避けた
 いと考えてしまいます。

 

【脱オール電化の考え方】

  年老いた母と同居しており、母の部屋を火を使わない電磁調理器にしたことで得られる安心感はあります。つまり電気の利便性を否定する訳ではありません。都市ガスから化学的に取出した水素を燃料電池を使ったエネファームなども検討してみました。しかし、技術(特に耐用年数)としては、まだまだ改善を要するものだと感じています。結局、現時点での選択肢は、オール電化を止め契約アンペア数を現行の60Aから20Aくらいに落とし、温水タンクを撤去し、都市ガスを復活させて、主調理器具と風呂をガスに変更する範囲とします。
その上で、目一杯、節電します。

 

【具体的な作業】

 ①主調理器具

   母の部屋はそのまま電磁調理器とし、我が家の調理コンロのみ
  都市ガスに変更します。変更は調理コンロの天板のみの交換で
  済ませます。

 ②風呂

   ガスに切り替えます。深夜電力による温水タンクは撤去し、ガ
  ス給湯に切り換えますが、我が家のオール電化では大変に問題
  になった「沸きまし(追い炊き)」について都市ガス導入で解
  決しそうです。

 ③電力契約

   現行の60Aをやめ、30Aできれば20Aでの契約を考えて
  います。最大の使用電力については、これから研究しますが、
  冬場のエアコン使用は母の部屋以外は極力控え、夏場も我々夫
  婦は既に扇風機主体となっています(一人あたり1.5台!)。

 ④屋根裏換気

   夏場は2階の屋根の昇温が激しく、屋根裏の温度は相当なものと
  なります。就寝時にエアコンではなく扇風機で十分なレベルま
  で温度を下げたい。又、同時にラドン濃度が1階(
12Bq/
  ㎥)より2階(
20Bq/㎥)の方が高いというヘンテコな現象
  が生じています。断熱材か天井材によるものと思われます。
  2階屋根裏の強制換気を行って、これらを共々解決したいと思
  います。最近、単に屋根裏の換気を行うのではなく、室内の熱
  を含んだ空気を天井裏に強制的に送り込みベンチレーターから
  熱を放出するという換気扇が発売されており、これを二台設置
  します。室内と天井裏に溜まった熱(+ラドン)を一挙にとる
  という便利な設計ですが、目論見通りゆくか愉しみです。

 ⑤その他

  1階の床下の通気を良くするために太陽電池で駆動するファン
  を数台設置して日昼は常時送風する仕組みを作ります。これは
  簡単だし、エアーサンプラーの試作時の残材が使えますので、
  自作したいと考えています。

さぁー、これで「脱オール電化」ついでに「脱エアコン」の省エネ生活に入れるか? 8月からの工事では、逐次、成果を報告しますのでお楽しみに。




千葉県 柏市の土壌2014年07月20日 14:56

千葉県 柏市の土壌汚染について

 高木基金のプレゼンテーションで東京に行ったついでに、柏市に足を延ばしました。現役時代に仕事の関係でお世話になった千葉の方々から「柏市は大変になっている」と聞いていたので、彼らとの再会を兼ねて出かけました。柏市では定期的に子ども達の通学路の放射能測定を行って線量をホームページ上で公開しており、又、公園などの除染にも力を入れています。

原発事故から3年を経過した今でも市内西部の空間線量は高さ1m位置で0.2μSvを超えるところがいくつかあり、柏中学校グラウンド北西隅の外で5Cmくらい落ち葉が積もった上に持参した計測器を置いたところ0.6μSvを記録し、慌てて、ポリ袋とマスクと手袋を買いに走りました。狼狽する私のすぐそばのグラウンドでは大勢の子供達が元気に部活をしていました。市内を歩き回り線量を測定しながら3ヶ所で土壌を採取し持ち帰りましたが、枯葉が流されて積もっているような水が集まる場所では線量も高く、あらためて原発事故の過酷さを思い知らされ、又、そういった場所でも無邪気に遊ぶ子ども達の姿を目にして途方に暮れてしまいました。

 

 Qベクに戻りNaIシンチレーターで2000秒測定した値は以下の通りです。

①道端の土        382g   

 Cs134   324.97Bq/Kg ±16.44

 Cs137   822.02Bq/Kg ±31.54

※空間線量              地上約1m:0.19μSv

 

②気象大学キャンパス   398g

 Cs134   511.14Bq/Kg ±19.05   

 Cs137   1180.47Bq/Kg ±36.48

※空間線量  地上5Cm:0.40μSv   地上約1m:0.20μSv

 

③柏中学校グランドの脇  403g

 Cs134   1272.07Bq/Kg  ±29.32  

 Cs137   3108.98Bq/Kg ±64.13

※空間線量  地上5Cm:0.60μSv   地上約1m:0.22μSv


*参考試料

④東京上野公園 精養軒横 395g

 Cs134    29.87Bq/Kg ±7.52

 Cs137    65.25Bq/Kg ±13.30

 ※空間線量  地上5Cm:0.11μSv   地上約1m:0.09μSv

 

 ④は参考として採取した上野公園の中の土です。地質の関係で空間線量は私の住む北部九州などよりむしろ低いのですが、ここでも土壌の中には、はっきりと事故の記憶が刻み込まれていました。

 

尚、採取した土壌は、柏中学北西部の汚染土除去の要請と「枯葉が集まっているような場所には行かない」「遊んだ後の手洗いの励行」「衣服などについた土埃をできるだけ家に持込まない」といった子供達への指導をお願いしつつ、柏市へ戻させていただきます。
 

高木基金からの市民科学助成2014年07月20日 10:21

昨秋11月以来、しばらく更新できませんでしたが、又、閑を見て更新してゆくつもりです。

2000年10月に亡くなられた高木仁三郎さんは核化学の研究者でしたが、自らを「市民科学者」と位置づけて既存のアカデミズムからの飛翔を目指した方でした。その揺籃期から隠蔽体質が問題にされていた日本の原子力行政のあり方に疑問を持ち、武谷三男さんらとともに原子力資料情報室を立ち上げた方です。高木さんは自ら市民科学者を目指すとともに、市井に科学する市民を育てることに努められました。
高木基金は、高木仁三郎さんの遺志に基づき、「市民科学」を目指す個人や団体に調査研究への助成を行うことを目的に設立されました。その運営は、高木さんの遺産と会費・寄付によってまかなわれています。

Qベクでは、エアーサンプラーの製作・運用に関して基金からの助成の申請を行い、書類選考~東京でのプレゼンテーションといった審査を経て、この度、2014年度の助成対象となりました。http://www.takagifund.org/archives2/detail.php?id=246
年間40万円の経済的支援は大変に嬉しいことなのですが、それ以上に高木基金が持つ人的ネットワークを通して全国の団体と結ばれる下地ができたことを喜び、今後を期待しています。

     高木基金「市民科学」助成対象となったQベクエアーサンプラー

基金の助成対象となったのは、Qベク エアーサンプラーの開発・改善と運用についてですが、個別の作業内容としては以下のようなものが基金の支援対象となっています。

 ①流量計の組込み
    できれば流量積算計まで組込みたいと考えています。
 ②防滴フードの組込み
    既に3種類の試作品テストを終えています。
 ③フィルターの放射能測定方法の確立
    福島で放射性浮遊塵の調査に使われている企業があり、現地に赴 
    いて教えを請う予定です。
 ④一般環境調査を含む、環境団体への協力
    北九州市で環境団体の調査をお手伝いしました。
    桐生市で放射性浮遊塵の調査をしているグループに貸し出しまし
    た南相馬市で放射性浮遊塵の調査をしているグループにサンプル
    機を出荷しました。
 ⑤設計図、製造方法、部品調達方法などをインターネット上に公開し、
    個人や団体が自作できるようにする。

   今年度中には、これら全てを完了すべく努力します。





放射線ホルミシス効果2013年11月15日 19:43

前回も触れたようにラドン222については、WHO(世界保健機関)が参考値100Bq(ベクレル)/㎥(立方メートル)を提示し、屋内での被曝の危険性について警鐘を鳴らしました。このWHOの勧告に従って多くの国が独自の規制値を設けています。しかし、我が国では今日に至るまで野放しのままなのです。
2012年10月に出された日本保健物理学会の「ラドンの防護基準に関する専門委員会 活動報告書」を読むと、特に福島第一原発の大事故を経て学者・研究者達の腰が引けている様子を含めて、日本で検討が進まない理由が何となく判ってきます。http://www.jhps.or.jp/jhp/wp-content/uploads/2012/12/sm_vol8.pdf
「WHOの提唱を受けた各国の屋内ラドン規制値制定の動き」や「日本国内の調査データ」などが延々と続き、「測定器」についても、どの方式はどうだといった瑣末(さまつ)な項目が議論されています。しかし重要な規制値そのものの検討にはいるや否や「WHOのベースとなった西洋人に比べ日本人の呼吸速度は少ないはずだ。だから、100Bq/㎥をそのまま採用するのは間違っている」「日本人の呼吸量とWHO勧告のベースとなった呼吸量の比較係数が判らないままでは我が国の規制値を定められない」と言った珍論まで飛び出し、まじめに議論しています。日本人と西洋人の呼吸量が違うと言うのなら、さっさと調べて概数を定めれば良いのにと思いますが、この呼吸量の件を「今後すべき課題 手付かずの課題」と名づけて、うやうやしく掲げています。
結局、「まとめ」は、いつものように

    「今後の国際的な議論の動向や進展を待って判断する必要がある」  と言うもの。

当分、何も決まりそうもありません。米国では、148Bq/㎥以下という規制がある事は、前回、報告しましたが、米国からの圧力で同等の数値が定められる可能性はあります。


・・・で長くなりましたが、ここからが本題です。

この屋内ラドン規制を巡る活動報告書の中で、考慮すべき事として「ホルミシス効果」をあげ、屋内ラドンが肺癌など健康被害をもたらす「負」の側面だけでなく、逆に、健康増進に寄与する放射性ホルミシス効果を考慮する必要があるかも知れないと述べています。
この低線量被曝時の健康促進効果をホルミシスと称しています。下の図は、ホルミシス効果を説明する時に良く使われるもので、横軸は被曝線量で右に行くほど線量が高い事を意味します。縦軸は被曝による効果で原点から「上方向が有害」、「下方向が有益」です。
                 被曝線量と健康被害の模式図

①~③の線は3つの放射線被曝の危険性についての基本的な考え方を示しています。これら3通りのモデルに共通なのは、「高い線量の被曝は健康に害がある」という点ですが、低い線量の領域に対する考え方が異なっています。
①の直線は、「健康被害は被曝線量に比例して生じる」。これより少ない被曝では人体に 
  影響は無いと言う「閾値(しきいち)」は存在せず、どんなに低い線量であっても、それな
  りの危険はあるとするものでLNTモデルと呼ばれています。
  WHO(世界保健機関)、ICRP(国際放射線防護委員会)、全米科学アカデミー、公益財
  団法人放射線影響研究所(日本)など世界の多くの機関がこのモデルを採っています。
②は、「閾値あり」とするモデルで、一定の線量以下では身体に影響は無いとするもので
  す。
  あの日本原子力安全委員会は、「年間被曝量100mSv(ミリシーベルト)以下では、確
  率的影響の存在は見込まれるものの不確かさがある。」と、閾値の存在を暗に示してい
  ます。この年間100mSv以下は安全という話は、かつてICRPが言っていたようですが、
  最近のICRPの文書をいくら探しても見つけられませんでした(ICRPは、上の①モデルで
  書いたようにLNTモデル支持し、一般の被曝線量は、年間1mSv以下にするよう訴えて
  います)。
  しかし福島第一事故後、この100mSvが一人歩きを始めて多くの日本人医師などが 
  堂々と公言するようになりました。フランス科学アカデミーも同様に100mSvを閾値とす
   べきだと報告しています。
  財団法人放射線影響協会は、ICRPのLNTモデルを批判し「低線量被曝時のリスクが無
  いとの確証が得られないから危険とするのは間違っている。むしろ、リスクがある事の確
  証が得られないなら安全とみなすべき」とし、「年間被曝量5mSv以下は安全」としてい
  ます。
③が、閾値以下の低線量は無害であるばかりでなく、むしろ人体に有益という放射線ホル
  ミシスの考え方です。私は、②の「閾値あり」の立場を採っている学者の多くが、実は、願
  望を含めて、このホルミシス効果をも肯定しているのではないか?と感じています。

【経過】
放射線ホルミシス効果を最初に提唱したのは、米国のラッキーという生化学者です。彼は1978年頃に「原爆の健康効用」なる説を提唱します。この中で、「広島・長崎の被爆者の追跡調査から、低線量の被曝をした人は、むしろ普通の人より長生きする」と述べます。又、「中国の自然放射能の高いある地域で癌の発生が、他地域より低い事が判った」などと報告します。
このラッキー教授の説に強い関心を示し、調査団を中国に派遣したのは、スリーマイル島原発の事故調査委員長だった人でした。
その後、発生した台湾での建築資材に混入されたCo(コバルト)60による長期被曝事件でも、被曝者は発癌率、奇形発生率とも劇的に下がったと報告され、ホルミシス効果が注目を集めました。

しかし、その後、これら一連の報告の多くで恣意的な統計の操作が行われていた事が指摘され、より精密な条件で行われた再検証では何れも「低線量域でも、それなりに有害」というLNTモデルに近い結果が出ています。

【日本では】
低線量被曝は身体に良いというラッキー教授の説を日本国内に導入し推進してきたのは、医学会でも生物学会でもありませんでした。

ラッキー説に「ラッキー!」と飛びついたのは、なぜか、あの「電力中央研究所」なのです。

国内の大学に人材と研究費を提供し、1993年に「放射線ホルミシス効果検証プロジェクト」を立ち上げ、「低線量は身体に良い」との説を広めようとします。電力中央研究所のサイトには、同研究所での様々な研究内容をまとめた「電中研レビュー」が掲載されており53号(2006年)「低線量放射線生体影響の評価」で様々な研究報告を行いホルミシス効果を後押ししています。
「放射能はニコニコ笑っていれば大丈夫」などと言う研究成果は無いようですが、大方は、まとめの中で研究所長が書いているように、「誕生して以来、生物はラドンや宇宙線といった自然放射線に曝されて進化してきたのだから、低線量被曝は害が無い」といった楽観論に支えられているように思われます。
このレビュー53号では、広報キャラバンとして「低線量の安全性」を知って貰うため、全国を巡回講演している」と書かれていますが、その開催地は「原発立地市町村」であり、対象者は、「電力・協力会社職員」や地域医療関係で、参加総員は1200名だったとしています。全国を巡って、参加者がたったの1200人と言うのも奇妙ですが、原発の稼動への地ならしとして立地市町村に対する「低線量は安全」キャンペーン以外の何ものでもないように見えます。

【まとめ】
福島で精力的に除染活動に取組んでいる児玉龍彦教授は、このホルミシス効果について、こう述べています。「低線量の被曝で生体内の一部因子に短期的な活性がもたらされる事は認められるが、長期では慢性炎症から発癌などの様々な症状が出るだろう」
又、放射線防護学の野口邦和氏は、「ホルミシス説が原発設置時の周辺住民説得の道具として使われている」、又、放射線被曝に対する原則的な考え方として「放射線は、どんなに少量でもできるだけ浴びないようにする。どうしても被曝が避けられない場合は、可能な限り被曝量を下げる努力をすべき」と訴えています。

私は、ある原発研究者を知っています。原発推進団体で働き、今では「低線量被曝は身体に良い」とまで放言している男なのですが、彼が若かった頃、原子炉研究施設から帰宅すると、父親の帰宅を待ちかねて駆け寄る子供達を叱り付けて遠避け、まずシャワーを浴びてから子供に接したと聞きました。当たり前の事ですが、本当は、彼らも(彼らこそ)低線量の被曝の怖さを知っており、「自分の子供達だけは被曝させたくない」と真っ当に考えていたのでしょう。変われば変わるものだと嘆息せざるを得ません。

聞くところによれば、この国の首相は「健康のため」にと称し、ラドンガス1回分20万ベクレルを、1日に6回マスクを口に当てて吸うのだそうです。以前、書いたようにWHOは、屋内ラドンの危険性を警告し100ベクレル/立方メートル以下にするよう提唱しています。本当に大丈夫なのでしょうか?

オッカムの剃刀でも書いたように、似非(えせ)科学の類は身の回りにたくさんあり、それぞれの理屈をこねて私達を誘います。特に低線量被曝のような結果の線形性が定かでないような領域には定説が育ちにくい事につけ込む輩が必ず現れます。

このようなグレーゾーンに直面した時、私達は、ニコニコ笑ったりせずに、閾値など不確かな情報に惑わされずに、安全サイドに進路をとるべきでしょう。予防原則とは、そうした考え方だと思います。

遊園地からのサーチライト2013年11月13日 18:59

以前、遊技場や遊園地からのサーチライトについて環境省が定める「光害防止ガイドライン」に抵触しており、止めさせるべきだと北九州市の環境保全課に相談し、この場でも訴えたところ、程なく、双方とも停止した事をお伝えしていました。それ以来ずっと目にする事は無かったので、ひょっとすると市の環境保全課がガイドラインに基づいて指導してくれたのかと喜んでいました。

然し、11月8日からスペースワールドと言う遊園地のサーチライトショーが、又、始まってしまいました(連日)。
恐らく、コンピューターを使って動かしているのだろうと思いますが、雲をスクリーン代わりにして照射し、光の点がめまぐるしく動き回ります(晴れた夜も雲の小片を求めて光条を走らせます)。聞いたところでは、何でも「UFO(未確認飛行物体)」を表現しているのだそうですが、噴飯ものです。恐らく良い歳をした大人が客寄せとして企画しているのでしょうが・・・。
幸い、遊技場からのサーチライトの方は今のところ復活していないようです。
※私のカメラでは、はっきり写ってくれませんが、実際はもっと明るく感じます。
            これがUFOなんだそうです。せわしく動き回ります。
環境省のガイドラインは、
「空港・港湾などの施設を除き、夜空に向けてサーチライトを照らしてはいけない。学術上必用な場合にのみ例外的に許されるが、その場合にも光軸を動かしてはいけない」と、なっており完全に違反しています。
最近の技術では、レーザーを使って雲に動画を描くのも簡単な事だと思います。例えば、費用はかかるでしょうが、広告媒体として雲を使う事だって可能でしょう。それを許せば、どんな事になるかは想像するだに恐ろしい・・・。
このスペースワールドのサーチライト照射は、随分稚拙なものとは言え、客寄せという営利目的という点では全く同じ事です。是非、やめて頂きたい。

この遊園地の近所には、北九州児童文化科学館という施設があります。ここには、五藤光学製のアポクロマート20cm屈折クーデ式という非常に立派な望遠鏡が設置されていたはずです。私の家よりはるかに遊園地に近いわけで、頭上の照明が邪魔にならないのでしょうか?或いは、夜間の観測などやっていないのでしょうか?

こんな馬鹿げた悩みを抱える天文ファンは他の街にも居るのかなぁ・・・。
今後も引き続き、この状態が続くようなら、又、環境保全課に直訴しなければ・・・。因みに、この遊園地のキャッチコピーは「思い出を宇宙から」と言うのだそうです。ヤレヤレ。

家庭環境でのラドン被曝2013年10月29日 18:39

線量計を使って環境放射線量を調べたり、自治体等が発表しているモニタリングポストの値をこまめに見られている方はご存知と思いますが、雨が降ると空間線量は上がります。時には50%近く上昇する事もあります(雨量と線量に直接の関係は無いようです)。この線量上昇の原因がラドンや、その関連物質からのγ線である事はご存知の方も多いと思います。
ウラン238のα崩壊を始点として、最終的に安定な鉛206にまで物質変化する過程では「ウラン系列」と呼ばれる様々な元素の状態を通過します。

この長い物質変化の道のりの途中で半減期1600年のラジウム226になり、このラジウム226がα崩壊して今回の中心人物であるラドン222に変わります。気体状のラドン222の半減期は3.8日と短く、α崩壊して、ポロニウム218に変わります(暗殺事件に顔を出した悪名高いポロニウム210に変わるのは、まだ先、終点の鉛206に変わる直前です)。
ポロニウム218は、半減期がわずか3分でα崩壊し鉛214に変わります。鉛214も半減期が26分と短く、β崩壊して、ビスマス214に変わります。ビスマス214も20分と半減期が短くβ崩壊して・・・・・・最後に、やっと安定した鉛206に辿りつき、それ以降は変化しません。

このウラン系列の物質変遷の途中で生じる気体ラドンは、比重が空気の7倍と随分重たいのですが、それでも一部は気流に乗って上空大気に混じります。崩壊して鉛214やビスマス214に変わりますが、その時点では鉛やビスマスもエアロゾル(浮遊微粒子)として大気中に漂ったままです。
ここで雨が降ると、上空に漂っていたラドン222、鉛214、ビスマス214が雨滴に叩かれたり下降気流で地上に落ちてきます。それらがα崩壊、β崩壊する際に同時に発するγ線によって空間線量が上がる事になると言う訳です。

なんだか「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな長ーい話ですが、要は、ラドンはガスの状態で地中から滲み出て、重たいので一部は地上の窪地や家屋内などに溜まり、一部は気流に乗って上空へ昇り雨に打たれて地上に戻ってきて、空間線量を増やすと言う事なのでしょう。

日本では、このラドンをめぐって語られている多くは、
①この国の首相が、健康維持のためにラドンを一生懸命吸引している。どうも、吸うと、ハイになって元気が出るらしい。
②地震の前兆現象としてラドン濃度の急上昇が観測される(事がある)。だから、ラドン濃度の変化を見る事で次の大地震を予測できる       の2つだと思います。
多くの日本人は、この何れかの目的で「ラドン計測器」を購入して数値を見つめているのでしょう。これらのラドンの効用の真偽については次回に譲る事とします。

しかし、広く世界を見渡せば、屋内のラドンガスは肺ガンを引き起こす強い因子として警戒されている事が判ります。WHOは、屋内ラドンを喫煙に次ぐ肺癌リスクとしており、その危険性をLNTモデル(被曝量が増えるほど危険性は増す。この線量以下なら害はないといった「閾(しきい)値」は存在しないとするモデル)で説明しており、100Bq(ベクレル)/㎥(立方メートル)以下とする事を提唱しています。このWHOの勧告を受けて多くの国が屋内ラドンによる被曝対策をとっています。米国では、屋内ラドン濃度の規制値を148Bq/㎥と定めており、不動産の取引時にはラドンガスの計測と提示が義務付けられている程だそうです。我が総理大臣のようにラドンを医療目的で使用する事は米国では禁止されており、違反すると罰則があると聞きます。他の多くの国も、米国よりは緩やかではありますが、規制値を定めています。

しかし日本は規制の無い大変珍しい国です。
日本で屋内ラドンが野放しにされてきた理由は主に次の3つだと思います。
1.湿気の多い日本では、昔から風通しを重視した高床式の住宅が多く、他国に較べて屋 
  内ラドンの濃度は全国平均が15~17Bq/㎥と、もともと低かった(世界平均は40くら
  い)。
2.首相のラドン吸引の根拠となっているホルミシス効果(低線量被曝は身体に良い)という 
  考えが一部の学者・企業などによって広められた。ラドン温泉やラジウム温泉の効能に 
  ついても同様。
3.人の健康・安全をテーマにした際の、いつもながらの学者・官僚の鈍感さと無能

2や3の問題については大変面白いので次回にまとめたいと思いますが、1についてだけ補足すると、この15~17Bq/㎥というデータは木造建築で得ており、サンプリング時期も古いものが多いという事です。最近の、マンション・アパートといったコンクリート建造物ではどうなのか?佐藤満彦氏は「放射能は怖いのか」の中で「コンクリートの建物の内部では、木造家屋に比べて100倍もの放射線に曝される」と書いています。又、木造建築でもアルミサッシの普及で密閉性が上がっているはずです。

と、言う事で私も一つラドン計測器を購入して、Qベクのメンバーの皆様にも協力いただき、最新のデータがどんなものか集めてみようと考えました。

多くの方が使っているのは、多分、下の写真のような米国製かカナダ製の計測器でしょう。これは、国内で3万円弱で売られていますが、海外から直接買えば1万円くらいで入手できそうです。そこで海外のサイトでこの機械の購入方法を調べていたら、ノルウェイ製の最新機の記事に出会いました。現地価格が199ユーロ(約2万7千円)とやや高価ですが、最新のものだけあって、測定精度が高く、軽量・小型な上、米国製がACアダプターを介して家庭用コンセントからの100Vで動くのに対して、こちらは単4電池3本を使用し2年以上の連続運転が可能とあり、小さい事も相まって可搬性に勝っています。因みに開発責任者は日本人の学者との事。このノルウェイ製の測定器に決めました(運賃込みで3万ちょっとです)。
             米国製のラドン測定器(大きく交流100V仕様)

早速、ノルウェイのメーカーに発注したところ、驚いた事に、3日後には商品が手許に届きました(下の写真)。UPSと言う国際的な輸送会社の便だったのですが、最近の物流の進歩は凄いものだと感心させられました。
               到着したノルウェイ製ラドンモニター

梱包を解いて、説明書を読み「木造2階建てアルミサッシ使用」の我が家の1階での数値を調べるべく、早速動かし始めました。手順は、至って簡単・・・ただ測りたい部屋のテーブル等の上に置くだけです(但し、壁から25Cm以上、床から50Cm以上離れた場所が推奨されています)。

動かし始めて2週間経過した我が家のダイニング(1階)の平均値は11Bq/㎥と判定されました。1日の平均値で最も高かったのは17Bq/㎥、最も低い日は7Bq/㎥でした。前者は午後から気圧が下がり、夕刻から雨が降り始めた日で、後者は北寄りの弱風が1日吹く快晴の日でした。
通常、ラドン濃度は夏に高く、冬は低いと言われていますが、天候・気圧・風向風力・湿度などの要素との関係も追々調べたいと思います。まだ、たった2週間動かしただけですが、我が家1階での変動の第一要因は、何と言っても「風」だろうと推測しています。
何れにせよ、まずは全国平均の15~17Bq/㎥を少しながら下回って良かった良かった。で、これから我が家の2階の様子を調べた上で、Qベクメンバーに順次調査して貰う予定で、途中経過を含めて、報告したいと思います。

愛車32万キロ走破2013年10月25日 17:56

我が家の1994年式フォルクスワーゲン ゴルフディーゼルの走行距離が32万キロを超えました。2011年の7月4日に30万キロを超えていたのですが、私の定年退職後は「歩け歩け」で車に乗る機会もめっきり減りました。雨の日の孫の保育園送迎や妻の買い物など市内を走る事が増えたため燃費も悪化しましたが、それでも、給油記録を採り始めた最近5万キロの総平均は17.91km/リットルと快調そのものです。来春で満20歳になりますが、まだまだ頑張って貰います。
最近のコモンレール方式ではなく、エジソン調速機なんかが組み込まれたボッシュ製の純機械式分配型燃料噴射ポンプを装備しており、この噴射ポンプを含めエンジン関係には一切コンピューターは使われていません。一旦、回り始めればバッテリーなんか無くとも回り続ける原始的でタフなエンジンです。エンジン関連の唯一の配線はエンジンを止めるために燃料の供給をカットするためのソレノイドバルブ用のものだけです。

32万キロ突破。「でも、メーターには2万キロと表示されているじゃないか。どこが32万キロなんだよ」と声が聞こえて来るようです。これには訳が・・・。 

下の写真は2011年7月4日のものです。走行中に299999キロになったので当時使っていたiPhone3で撮りました。余談ですが、現在のiPhone5で撮った上の二枚の写真と較べるとiPhoneの内蔵カメラの性能が如何に進歩したのか良く判ります。
で、さぁ、いよいよ30万キロになるぞと見ていたら・・・

なんと、積算計は「0km」にリセットされてしまいました。
60Km/hで走行しているのに、エンジン回転数を示すタコメーターの針がゼロを指していたり、計器盤の警告等が点灯していますが、実は、この日、オルタネーター(発電器)のベルトが切れて、正規ディーラーの工場に向かう「トホホ状態」での30万キロ超えだったのです(先にも書いた様にバッテリー無しでも走れますので問題はありませんが・・・)。
突然、積算計がゼロに戻ったのは、このベルト切れのせいかと思い、工場にたどり着いて、いつも整備でお世話になっているベテラン氏に尋ねたのですが、彼も30万キロを超えた車を見るのは初めてとの事で判らず、本社に尋ねて貰いましたが、「この頃のフォルクスワーゲン車は30万キロで積算計がゼロクリアーされるようになっているそうです」との答えでした。理由は判らないそうですが、「新車に戻ったみたいで良いじゃないですか」とは、ベテラン氏の言葉でした。でも何でそんな面倒な仕掛けを作ったのか、未だに判りません。
30万キ超えを記念してリアウィンドーにステッカーを貼っていますが、次は333333kmに達した時に貼り換えてやろうかと思っています。
20年間酷使され続けて、さすがに小さな故障に遭遇する事もありますが、未だに錆ひとつ無く、タフで頼れる相棒というのは、本当に実用車の見本のように思います。