ブログを開設しました2013年05月18日 15:36

ブログを立ち上げました。何だかいろいろ面倒で手間取りましたが、難しい事は今後おいおい勉強・・・と言う事でとりあえず目出度し目出度しです。タイトルの「産廃」という言葉には、産業社会に於いては「誰かが引き受けねばならない後始末の仕事」と言った蔑むような響きがあり、本当は、あまり好きではないのですが、この言葉にそのような響きを与えている社会なり政治なりを問う意味で、あえてタイトルとしました。かつては「物造りの街」であった北九州市の現在の環境問題とも大いに関係のあるテーマなのだと思っています。


Qベク エアーサンプラーの話その12013年05月18日 16:03

Qベクでのエアーサンプラー開発の経過を、ざっと3回くらいにまとめてみます。
Qベク(放射能市民測定室・九州)で市民向けのエアーサンプラーの開発が開始されたのは2012年秋でした。北九州市が東北から受入れた震災がれき焼却の開始を受けて、市民の手で空気環境の監視に取組もうと言う佐賀大学豊島教授の提案に沿ったものでした。エアーサンプラーとは空気をモーターで吸引し、この空気中に漂う微細な粉塵(PM2.5など)やアスベスト、ダイオキシン、更には放射性浮遊物と言った危険な物質を特殊なフィルターで捕らえる機械の事ですが、市販品は数十万~数百万円もする高価なものです。これを可能な限り安価・簡便なものとし、しかも、フィルターには市販品と同じものを使って「危険な物質を捕まえる」機能上は市販品と較べても遜色のない「市民のためのエアーサンプラー」を作ろうというものでした。放射性浮遊物の検出のためには、このエアーサンプラーを数週間回して空気中の浮遊物をファイルターに捕らえた後、フィルターを検査機関に送り、シンチレーターやゲルマニウムカウンターなどで放射線量を精密計測します。残念ながら開発の遅れから北九州市での十分な展開には間に合いませんでしたが、GB100R(125mm径)と言うフィルターを装着した状態で、毎分80リットルの吸引能力があり、市民のためのエアーサンプラーとして十分な性能を持つ機械が出来上がりました。
悩みの種は運転時の騒音で、実際に使った方から「流量を減らしてでも、もう少し静かにならないか?」という要望を寄せられており目下対策を検討中です。



Qベク エアーサンプラーの話その22013年05月18日 23:30

2012年秋に開発が提案された時は、段ボール箱にフィルターとパソコン用のケースファンを取り付けたものでしたが0.3ミクロンのチリを99.99%つかまえるガラス繊維で出来た専用フィルターは、とんでもなく目が細かく空気が通りにくいため、このような仕組みでは到底機能しない事が判りました。このフィルターでマスクを作ったらPM2.5も取ってくれるでしょうが、間違いなく窒息してしまいます。
そこで雨水などの処理に使う配管材に目をつけました。これに様々なファンを取り付けてテストを続けました。結論として、エアーサンプラーの吸引装置にはプロペラタイプのファンでは駄目で、静圧の高いブロアファンのタイプが適しているが判りました。
           テストした各種のファン。これ以外にも数種類試しました

樹脂製の配管部品を使うメリットは、軽くて丈夫な事、加工しやすい事、精度が高く気密を保ちやすい事、大量生産品で価格が安い事、規格化が進んでおり互換性が保証されている事などがあります。こうした良い事づくめの材料を活かすために、あえて一体型で作らずに「フィルターを固定する部分」と「モーターを取り付ける部分」を別にしました。こうする事で、アタッチメントを介して径の異なるフィルターの使用が可能になり、又、後々のメンテナンスも随分楽になります。
             左がフィルター保持部、右がブロアーファン部。


Qベク エアーサンプラーの話その32013年05月19日 00:38

樹脂製の配管部品を使ったQベク エアーサンプラーの基本的な構成が決まり、2012年末から試験運転を始めました。ブロアファンは定評のある国産のS社のものを使っていますが(製造工場はフィリピン)、その強力な吸引力に耐え切れずフィルターが破れてしまうトラブルはありましたが、フィルターを保持するアルミ製の網を見直すなどの改善を行いながら約1ヶ月間の連続運転を終えました。
                    最終的な構成部品たち

今年の2月からは、北九州市内の5ヶ所(門司・日明2ヶ所・戸畑・折尾)で最大2ヶ月間の連続運転テストを行いました。北九州の環境では10日間くらい(約1000立方メートル吸引)で下の写真のようにフィルターは真っ黒になってしまいます。大人は日に10立方メートルくらいの空気を吸っているそうですので、これは北九州市民の3ヶ月分の呼吸で肺に入ってくる汚れと言う事になります。
2ヶ月間の連続運転後に吸引能力がどのくらい落ちているか調べてみましたが、5%程度の低下が見られる範囲でした。あらためてガラス繊維のGB100Rというフィルターの集塵容量の大きさに感心しました。

さて、5000立方メートル近い空気を吸ったフィルターをQベクのNaIシンチレーターで計測した結果が下の図です。幸いセシウムは検出されませんでしたが、478KeV付近に奇妙な山があり「これは何だ」と言う事になりました。最終的にはQベクの顧問として技術上の指導を仰いでいる佐賀大学の豊島教授が「ベリリウム7」と判定して決着しました。普段Qベクでは食品を中心に測定していますので、初対面の核種という事になります。ベリリウム7は、宇宙線が大気上層の窒素や酸素と衝突した際に生じ、すぐにエアロゾルとなって地上に降りてくるものだそうです。「雪は天からの手紙」とは雪の研究で有名な中谷宇吉郎博士の言葉ですが、「ベリリウム7は星々からの手紙」であり、宇宙規模の物語を読んでいる訳です。
雨に含まれて地表に達したベリリウム7の話は時々聞きますが、全く雨に濡れる事のなかったフィルターからも検出されています。今回はセシウム134やセシウム137などの検出はありませんでしたが、ベリリウム7という放射性物質のエアロゾルそのものを捕まえた訳であり、Qベク エアーサンプラーが「空気の中に何かがあれば必ず捕捉できる」機械であると自信を深めました。
           フィルターの検査結果。Be7(ベリリウム7)の小さな山










Qベク エアーサンプラーの話その42013年05月19日 19:25

市販のエアーサンプラーには、毎分20~30リットルを吸引するローボリュームエアサンプラーと500~1000リットルを吸引するハイボリュームエアサンプラーに大別されます。この中間のものをミドルボリュームエアーサンプラーと呼ぶ事もあるようですが、このクラスに該当する機械はあまり販売されていないようです。・・・で、Qベク エアーサンプラーは80リットル/分と、この数少ないミドルクラスに位置します。
ハイボリュームやローボリュームと言うと「ハイ」は「ロー」の上位機種と考えられがちですが、そもそも両者の用途は異なっています。
ローボリュームエアーサンプラーは、1週間とか1ヶ月などと運転期間を長くとって当該地域環境の「平均的な汚染度」を調べます。 この運転期間中には、気象条件(天気・風向・風力など)が変化します。それらの影響が加味された状態量として空気の標本が作られる事になります。
一方のハイボリュームサンプラーでは、運転時間は長い場合でも24時間程度です。これは例えば原発事故などで飛来するプリューム(放射能雲)の動きを捕捉・監視するなど、想定される汚染の刻々の変化を見る場合に有効な機械です。
福島第一原発事故から2年が経過し、今、暮らしている場所の環境がどうなっているかを調べるのであれば、上の様な理由からハイボリュームよりローボリュームの方が適しているように思えます。・・・と言うか、二度とハイボリュームエアーサンプラーが必須な状況になっては困ります。

とは言ったものの、やはりハイボリュームなものも作っておきたいと言うことで1200リットル機の製作と言う寄り道もしてみました。Qベク エアーサンプラーと同じ構造・部品を用いて、フィルター保持部に径1mmの鉄格子(餅焼き網を切断)を埋め込んで補強し、ブロアーは100円で買った中古掃除機から外した300Wのものを取り付けました。テストの結果毎分1200リットルの吸引能力がある事は何とか確認しましたが、轟音がものすごく、とても24時間も回し続けられるものではありません。
第一、大抵の掃除機の説明書に書かれてあるように、この手のモーターの連続運転可能時間は30分程度しか保証されておらず、おそらくモーターのブラシが焼損して停止してしまうと思われます。

それでも、大事が起きた時にはQベクの誰かが、この機械を抱えて現地に駆け付け、辺りに大音響を轟かせながら24時間、或いは、モーターが壊れてしまうまで回し続ける・・・のかも。

                  1200リットル/分機の雄姿
          餅焼き網を円く切って埋め込み、フィルター保持能力を強化              

Qベク エアーサンプラーの話その52013年05月19日 22:45

【Qベク エアーサンプラーの仕様】
これまで、Qベク エアーサンプラーの開発経過を駆け足でたどりましたが、一連のテストを終え、次のような仕様で、この春から販売/貸出しを開始しました。
大きさ     :最大径147mm  全長240mm
重量      :約1kg
ブロアモーター:山洋電気B97(12V2.7A)
吸引流量   :毎分約80リットル(GB100Rフィルター使用時)
使用フィルター:ADVANTEC GB100R(125mm径)
付属品     :ACアダプター(12V3A)
         :GB100Rフィルター1枚
         :延長ケーブル(1.5m)
販売価格    :4500円
レンタル料    :1500円(回転数可変機 1ヶ月 フィルター1枚)
オプション    :GB100Rフィルター(5枚セット)   ・・・2000円
          :延長ケーブル               ・・・100円/m
          :回転数可変回路             ・・・840円(詳細は後述)
          :シガーライターケーブル(2m)      ・・・500円

         ※送料は別途かかります。
         ※レンタルは福岡県内を対象とさせていただいています。
【Qベク エアーサンプラーの特徴】
 数十万~数百万もする市販品のような高度な流量制御は一切行わず、市民が使える安価・簡便なエアーサンプラーです。但し、一番重要なフィルター部は市販品と同じ特殊ガラス繊維で作られたGB100Rを使っており、空気環境中の0.3ミクロンの微細な浮遊物を99.99%捕らえます。

Sky Quality Meter2013年05月20日 10:03

Sky Quality Meter(スカイ クオリティ メーター) 略してSQMと呼ばれる、この小さな測定器は、夜空の品質を数値化する道具です。カナダ製で案外高価なものです(私にとっての話です)。
天体望遠鏡と言うのは太陽観察など特別な用途を除けば夜に使うものです。そこで夜、天体望遠鏡を覗けば星々が見えるはずなのですが、昨今の大気の汚染と光害で「見えるはずの物が見えない」と言った事が起こります。そこで天体観望を愉しみにしている人達の間では、「どこそこの夜空は暗く澄んで素晴らしい」といった情報が交わされる事になります。格好の観測場所を見つけて皆に教えてくれる人、自分だけの秘密の場所として情報を出さない人などいろいろのようです。魚釣り仲間が漁場の情報交換をするのと同じ話なのですが、魚釣りと違うのは星は釣るものではなく観るだけでなのですから、教えてあげても別に減ったりはしないのですが・・・。まぁ静かに一人で星見の至福の時を過ごしたいという事なのでしょう。
星の漁場たる観測地の品質は、以前なら「望遠鏡なしでM33が見えるくらい」とか「私の8cm f8屈折でもNGC4565が確認できるくらい」など門外の方が聞いたら、きっと吹き出すような訳の判らない表現になっていたと思います。
このSQMという小さな測定器のメリットは、「私の家の空はSQM値が19.3です」などと具体的な数値で定義できる事にあります。しかも世界中の観測者がこれを使い始めており、各地の「空の品質」がデータベースとして公開されています。本日時点で公開されている最高値は23.69でこれはアメリカのネバダ州の渓谷でした。


・・・で、北九州市の住民たる私の家では・・・一昨日の夜は、比較的良い空だったのですが17.9にとどまりました。この値は「惑星なら十分に見える」程度で、私が釣りたい系外銀河などトンデモナイといった貧弱な漁場という事になります。我が家でのこれまでの最高値は2011年末頃の深夜で18.7でしたが、これでも星雲や系外銀河を楽しむのは無理でしょう。
自宅では25cmのドブソニアン望遠鏡を使っているのですが、こんな空では口径をいくら大きくしても「夜空のホコリ」が「立派な夜空のホコリ」に見えるだけなのです。

最近、大変腹が立つのはスペースワールドやパチンコ屋といった遊技場が客寄せに夜空に放つサーチライトです。望遠鏡というのは遠方のものを拡大する道具と思われている方も多いと思いますが、それ以上に大切なのは「暗いものを明るくする」機能なのです。人間の瞳は直径7mm程度なのだそうですが例えば25cmの望遠鏡の集光力は裸眼の1250倍にもなります。この望遠鏡で夜空を見ている時に、サーチライトが目の前を過った時にどうなるかは見当がつくと思います。環境省が出している「光害対策ガイドライン」には、このような営業目的のサーチライト使用を「してはならない事」と明確に定義しています。この事を、北九州市環境保全課に伝えたところ「環境省のガイドラインには違反しているが、あくまでもガイドラインであり拘束力は無い」との由。重ねて「せめてガイドラインがある事くらいは当該業者に伝えて貰えないか」と要請しましたが、この女性職員の応答は何と「あなたが直接掛け合ってください」だと。絶句してしまいました。
                 遊技場のサーチライトが・・・涙

エアーサンプラーの騒音対策①2013年05月20日 13:48

Qベク エアーサンプラーを製作してきて一番の悩みの種は騒音です。貸出機の申し込みを受けて設置に伺ったものの、作動音を聞いた途端「この騒音では無理」と設置を断念されたケースが数回あります。個人的には毎分80リットルもの空気を、あんな通過抵抗の大きなフィルターを通して強引に吸込むのだから、ある程度の騒音はやむを得ないとは思うのですが、とは言え何とかせねばと考えてきました。
この騒音源には主に3種類あり、
1)モーターの回転音
2)密度の高いフィルターを空気が通り抜ける時の「ザーッ」という高周波
3)ブロアー排気部の排気干渉による「ゴロゴロ」という低周波のドラミング
このうち、1)についてはSAN-ACE97Bというブロアーの造りの確かさから、殆ど聞こえません。問題は2)と3)。この2つの騒音をどうすれば解消できるか?勿論、市販の据付機のように大きな防音ケースを用意すれば良いのでしょうが、そうもいきません。

解決の方法を整理すると次のようになります。
  A.出てくる騒音を遮蔽するなどで閉じ込める
  B.騒音が出ないようにする
    B1.整流板などで排気部の乱流を抑える
    B2.吸入流量を下げる
       B2-1.ブロアーファンを静圧の低いものと交換する
       B2-2.ACアダプターの電圧を下げる
       B2-3.ブロアーの回転数を可変にする
これらの各々を実際に試して効果を調べてみました。

まずは、騒音の測定から。後方1mの位置でiPhoneのアプリケーションで測定してみると大体76dBくらいあります。
最初にAの遮蔽ケースを考えてみました(続く・・・)