オッカムの剃刀(かみそり)2013年06月08日 21:08

もう随分昔、何かの本で読んだ天才レオナルド・ダ・ヴィンチの逸話は科学的な態度とはどう言うものかを教えてくれました。現代にも通ずる話なので紹介します。

ある時、ダ・ヴィンチはアルプスに到る峠の土木工事の責任者として2000m近い高地で作業を指揮していました。すると、あちこちから大きな貝様の化石(アンモナイト)が見つかり作業員達はこんな山の中に海の生物の化石がある事を気味悪がります。作業員の動揺の様子を聞いた役所は、現地に科学者を派遣します。科学者達が出した結論は、「ここは、神が生物を創造していた神聖な場所であり、ここに残る化石達は出来損ないとして神がこの場に放棄されたものだ・・・」と言う物でした。
これに対してダ・ヴィンチは次のように反論します。つまり「ここが、かつて海だったからに過ぎない・・・」と。
アルプスの造山運動が明らかになるのは、ずっと後の時代の事ですが、「それが海の生き物である以上、そこは海だったのだ」というダ・ヴィンチの思考の囚われない柔軟さには本当に圧倒されます。
現代人である私やあなたは同じような状況下で、ダ・ヴィンチのように発想できるでしょうか?

この時の科学者達の結論に見られるような、「もの事を説明する際に不必要な(必要以上の)修飾を加える」ような行為を戒める言葉として標題の「オッカムの剃刀」があります。

世にある問題の答えが必ずしもシンプルであるとは限りませんが、現代に生きる私たちもダ・ヴィンチのように柔らかで率直な物の見方を身につけたいものです。

日本国の景気と私2013年06月26日 15:49

金さえあれば貧乏なんて怖くない--私が大好きなフランスの諺です。その日、散歩に出かけるズボンのポケットに千円札の1、2枚もあれば豊かな気分で闊歩できる・・・そんなラテン気質が大変好きです。私の経済観念は、凡そ、この辺りでしょうか。市場という漢字を、つい、「いちば」と読んでしまう世代です。然しながら、いささか勉強して新聞の一面にこの文字があれば、それは夕餉の卓上に並ぶ大根やら豆腐やらを売っている所とは無関係の世界の話である事位はちゃんと判っております。ただ、経済の語源が経世済民の略である事を思い起こすまでも無く、生活者たる私にとっては、新聞の一面に載る市場より「いちば」の方が大切だし親しいという事なのです。
この私に縁の無い方の市場は、昨秋来の自民党政策で「平成のええじゃないか」状態であるそうです。日経平均は殆ど倍になり、従って、座して財産が倍になった人が居る訳です。1980年代にもバブル景気と呼ばれるものを目の当たりにしました。この時は日本企業がアメリカの由緒ある大きなビルをビルごと買った、とか、世界中の名画を日本人が買い漁っている、とか、ゴッホを買った日本人資産家が「死んだら棺に入れて(一緒に燃して)欲しい」と言って世界のひんしゅくを買った、とか、いろいろ騒がしかったものです。この時のバブルは確か4~5年は続きましたが、残念ながら今回の「ええじゃないか」は既に一息ついてしまった様です。1980年代のバブル期には、それこそ「同じ阿呆なら踊らにゃ損、損」と上(大資産家・大企業)から下(庶民)まで狂っていた(特に上が狂っていた)記憶があります。然し、今、進行している現象は、私にはどうも経団連をはじめとする「上の狂い様」が希薄な気がしてなりません。何だか彼らが醒めた目で下々の狂乱ぶりを眺めているように感ずるのです。
何れにせよ、一連の騒ぎについて思うのは「金儲けするべき人々は既に儲かった」と言う事だと思います。これまでに金儲け出来なかった人々は金輪際金には縁が無いと悟るべきであり、あの方々が狂乱した祭りの後片付けにお金を払う側に立っている自身を覚悟すべきと思っています。
かく言う私も、株券などと言うものは手にした事は勿論、見た事すら無いので、つまり、後片付けにだけ参加する身なんだと思います。 円安で物価は上がり、増税、住宅ローン金利増、年金・・・。おかたづけ。おかたづけ。さぁーさ、みんなでおかたづけ。

でも、ズボンのポケットに千円札が1枚でも入っていれば、今日の私の散歩は幸せなのでした。


今年の夏の気温2013年06月27日 14:42

気象庁は、3ヶ月予報で「今年の夏は猛暑となる」と発表しました。6月26日の新聞記事によれば、①チベットの高気圧が強い、②偏西風が強いチベット高気圧に押されて2分される③その結果、日本付近の偏西風は弱まる、④太平洋高気圧が日本付近に張り出しやすくなる、⑤結果、日本は猛暑となる・・・と、言うものです。何だか「風が吹けば、桶屋が儲かる」ような筋立てではありますが、高度なコンピューター技術を駆使して得られた結論なのでしょう。
でも、本当に、そうなるか?高度なコンピューター技術を持たない私はちょっと疑念を抱いています。確か、気象庁は昨年も同じ時期に猛暑の夏を予想していたように思いますが、結果は大外れでした。あの予測失敗の原因は何であったかが語られていません。長期予報と言うのは難しく外れる事もあるのは当然ですが、何か見落としたファクターは無かったか?
私は、昨年の夏、九州を襲った集中豪雨の激しさは、良く言われるように「地球温暖化で天候がトゲトゲしくなった」事だけによるものとは思っていません。レーダー映像にも、いわゆるテーパーリングクラウドみたいな局地的な豪雨をもたらす要素は殆ど目にせず、ただただ広く厚い雲のバンド(つまり梅雨前線)が見えるばかりでした。
又、予報では晴天とされていても、薄い雲が次々と広がり日射を弱めていると感ずる日が多く、すっきりした青空が望めません。おかげで昨年の夏は、ほとんど天体観測ができませんでした。その頃から個人的にPM2.5に疑いを抱いていました。つまり、大陸からの汚染微粒子は、もはや気象現象に影響を及ぼすレベルになっているのではないか?と言う仮説です。
デンマークのスヴェンスマルクという気象学者は、雲の発生について①海洋から供給される硫酸塩、②大気圏に入ってくる宇宙線の2つを重視した学説を唱えています。気候学の世界では、まだ異端扱いをされているようですが支持する学者は着実に増えていると聞きます。PM2.5の主成分こそ、この硫酸塩のエアロゾルなのです。

・・・で、今年の夏の天気に戻ります。
スヴェンスマルク説をとれば、雲の発生要因である硫酸塩エアロゾルは、大陸から大量に供給されています(西日本。特に九州では)。
一方、宇宙線の量は、昨年~今年が太陽活動の極大期であるにも関わらず太陽風が弱い状態が続いています。太陽風は宇宙線を遮蔽して太陽系の中に入り込むのを妨げる効果を持ちますが、この太陽風が弱いため地球上に降り注ぐ宇宙線が増えているようです。
Qベク(放射能市民測定室・九州)で、今年、エアーサンプラーのフィルターから宇宙線に由来するベリリウム7を相当量検出したのも、太陽活動の弱まりと関係あるのではないかと思います。
これらから、雲量が増える事が予想され日射が遮られることで、昨年夏同様に比較的低温の夏になるのではないかと思っています。昨年一年間の日照時間は過去20年間で4番目に少ないものでした。

気象庁の猛暑予測が当たるか、それとも冷しい夏となるか?今年の夏は楽しみです。